ビットコインでの取引で利益が生じた場合の
課税関係については、これまで明確な指針等がありませんでしたが、
先日国税庁のタックスアンサーにおいて
ビットコインを使用した事により生じる利益は
原則として「雑所得」に区分する、と公表されました。
従ってビットコインによる利益は
上場株式等の譲渡所得のような分離課税(別枠で計算され、税率は一律)
とは異なり、総合課税(他の所得と合算され、累進税率が適用)となりました。
[国税庁タックスアンサー]
ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htmここで「上場株式等の譲渡所得」と
「ビットコインの雑所得」との
課税上の取り扱いの違いについて、
ポイントをまとめておきたいと思います。
◎課税方式、税率の違いについて
・「上場株式等の譲渡所得」は
分離課税(別枠での計算)であり、
税率は一律20%(所得税15%、住民税5%)である。
・「ビットコインの雑所得」は、
総合課税(他の所得と合算して計算)であり、
税率は累進税率(最高税率は所得税45%、住民税10%)である。
※したがって、ビットコインは最高税率が大きく、
多額の利益が生じた場合、税負担は大きくなります。
◎損失の繰越の可否について
・「上場株式等の譲渡損失」は3年間に渡り繰越が可能なため、
その先3年間で生じた上場株式等の譲渡所得から
控除する事が可能です。
・「ビットコインにより生じた損失」は、
将来への繰越は認められていません。
従って今年大きく利益、来年大きく損失、
といった場合は税負担のみが大きくなる事になります。
◎ビットコインの雑所得が所得が20万円以下の場合
給与所得・退職所得以外の所得の金額の合計額が
20万円以下の場合は、確定申告は不要とされています。
(ただし、年末調整をされている事など一定の要件があります。)
従ってビットコインの雑所得が少額(20万円以下)の場合、
税負担が発生しない場合があります。
※ただし医療費控除を受けたり、
住宅ローン控除を受ける等の理由により
確定申告をする場合は、
ビットコインの所得も申告する必要があります。
あくまでも「確定申告をしない場合は」
所得の申告をしなくても良いだけですので、ご注意下さい。
時代の変遷により、現状の税法では解釈が難しいものが
色々と出てきていますね。
たとえば最近ではvaluなんてものも出てきています。
こちらについては贈与税になるのか?所得税の雑所得になるのか?
色々と見解が分かれているようです。
(なお、今の所valuについては国税庁の見解は発表されていません。)
こういった課税関係がはっきりしないものについては、
不意に多額の税負担が生じて大変な事にならないように、
税金の取り扱いがどうなるのかの確認を
きっちりと行う事が大切ではないでしょうか。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
森田税理士事務所
所長税理士 森田 健一
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